プラズマ診断

~太陽を「見る」だけでここまで分かる~

公開日:2021 年 1 月 22 日
最終更新日 更新履歴
2021 年 3 月 9 日:画像を切り替えられる機能を追加
2021 年 1 月 22 日:公開
:2021 年 3 月 9 日

太陽から放たれる光のスペクトルや偏光状態を解析することで、放たれた場所の温度、組成、流れ、磁場などの様々な情報を得ることができます。その仕組みを紹介します。

天文学の宿命

天文学は、宇宙で起きる様々な現象を調べることが目的です。天文学が自然科学の他の分野と異なる部分は、調べる対象の近くに行くことができないということです。また、ほとんどの場合、実験によって現実にその現象を再現して調べることもできません。よって、遠くからひたすら「見る」ことによって、その現象を調べることになります。

これは太陽の場合も同じです。最新の探査器 Parker Solar Probe によって、2024 年頃に太陽半径の 10 倍程度の距離まで太陽表面に近づくことが計画されています。これが今の技術の限界であり、太陽表面に温度計や風速計を落として直接観測するようなことはできません。

従って、太陽物理学では、太陽から発せられる光の観測から、発せられた場所の状態を推測する手法が発展してきました。具体的には、太陽光のスペクトルや偏光状態から、発せられた場所の組成、温度、速度、磁場の様子などを、ある程度の不確かさの範囲内で推定することができます。この手法はプラズマ診断 (plasma diagnostics) と呼ばれることがあります。

この記事では、どのような仕組みで、光の観測から様々な情報が得られるのかを簡単に説明します。

光の観測

太陽の観測機器の中には、太陽光のスペクトルや偏光状態を測定できるものがあります。スペクトルとは、横軸を波長、縦軸をその波長の成分の強度 (明るさ) として描いたグラフのことです。光の基本知識については記事「光とは何か?」で説明しています。

偏光について詳しくは記事「偏光とは何か?:光の持つ 2 つの状態」で説明しています。光 (電磁波) は横波なので、その振動方向というものを考えることができます。同じ方向に伝搬する同じ波長の光でも、振動方向の違う様々な光が存在し得ます。その性質の違いを偏光と言います。

スペクトルと偏光状態を測定することを、偏光分光観測 (spectropolarimetry) と言います。以下に、その一例を示します。

図 1   (上段) 観測衛星 SDO に搭載された装置 HMI が 2016 年 9 月 3 日に 連続光 脚注 [連続光]:太陽からの光をスペクトル分解 ( = 各波長ごとの強度を表示) すると、周りと比べて強度の弱い波長帯が所々に現れます。これを吸収線と言います。逆に、どの吸収線にも該当しないような波長の光を連続光と言います。 図:太陽光を各波長 (色) ごとに分解したもの。黒く見える波長が吸収線。提供 N.A.Sharp, NOAO/NSO/Kitt Peak FTS/AURA/NSF で撮影した光球:提供 NASA/SDO and the AIA, EVE, and HMI science teams. (下段) 観測衛星ひのでに搭載された装置 SOT/SP が 2016 年 9 月 3 日に連続光で撮影した光球:HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。ひのでは JAXA/ISAS が国立天文台、NASA、STFC (UK) の協力の下で開発した観測衛星である。

図 1 の下段は、JAXA/ISAS が主体となって開発した観測衛星ひのでによって観測された太陽表面付近 ( 光球 脚注 [光球]:フィルターを通さずに可視光で観測したときに明るく映る層のことです。大雑把にはこの層が「太陽表面」と呼ばれます。より細かくは高度 0 から 500 km あたりの層を言います。 )です。黒点が拡大されて写っています。因みに、この黒点は後の説明で度々登場しますが、余裕のある方は、この黒点が 図 1 の上段に示したように、円盤状に見える太陽の左半球に位置していることを覚えておいてください。

ひのでには、「SP」と呼ばれる偏光分光観測装置が搭載されています ( Lites et al., 2013 )。この装置は直線状の領域を一度に観測することができます。例えば、図 1 に青線で示した線分 AB を観測した際の結果を 図 2 に示します。

図の上段に示した 4 本のデータはストークスパラメータの観測結果を色で示したものです。詳しくは 偏光の記事 で説明していますが、光の偏光状態は、その強度 (明るさ) \(I\) に加え、\(Q, U, V\) という 3 つの量を観測することで、一意に記述することができます。この 4 つの量を併せてストークスパラメータと言います。\(Q=U=V=0\) の光は「無偏光」と呼ばれます。

図 2   ひので/SP が観測したストークスパラメータ:図 1 の青線の位置にスリットを当てて偏光分光観測を行ったときのデータ。縦軸はスリット上の位置、横軸は波長を表す。各パラメータの値が色で示されている。下段にはスリットの下端でのスペクトルがグラフとして示されている。HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

各図の縦軸はスリット (線分) 内の位置を表します。黒点をまたいだ領域を測定した結果なので、\(I\) の図の中央あたりは暗くなっています。

図の横軸は波長です。この装置では、波長 630.09 nm から 630.32 nm 程度までのスペクトルを測定することができます。図の下段に一例を示したような、スリット内の各点でのスペクトルを縦に連ねて色の濃淡で表した図が \(I\) の図です。\(I\) だけでなく、\(Q, U, V\) についても各点、各波長ごとに、その値が測定されています。

図の下段に示したように、この波長域には 2 つの 吸収線 脚注 [吸収線]:太陽からの光をスペクトル分解 ( = 各波長ごとの強度を表示) すると、周りと比べて強度の弱い波長帯が所々に現れます。これを吸収線と言います。逆に、どの吸収線にも該当しないような波長の光を連続光と言います。 図:太陽光を各波長 (色) ごとに分解したもの。黒く見える波長が吸収線。提供 N.A.Sharp, NOAO/NSO/Kitt Peak FTS/AURA/NSF が存在します。吸収線とは、スペクトルが鋭く凹んでいる部分のことです。\(I\) の図では 2 本の縦向きの暗線として見えています。図をよく見ると、黒点に近い領域では、吸収線の幅が少し太くなっている様子が分かります。また、黒点の近くでは \(Q, U, V\) の値もゼロではなくなっています。

吸収線の凹みの形やストークスパラメータの値は、光が放たれた場所の様々な情報を持っています。つまり、例えば強い磁場があった場合には \(Q, U, V\) の値が大きくなる、といったように、放たれた場所の温度、流速、磁場などの状態に従って、スペクトルの具体的な形が決まるのです。

このことを逆手に取り、観測されたスペクトルや偏光状態から、光が放たれた場所の状態を推定することができます。と言っても、実際にコンピュータを使って推定するとなると、なかなか大変な計算です。なるべく現実的に、かつ短い計算時間で推定するための計算方法を開発すること、あるいはその計算方法と相性の良い観測装置を開発することが、この分野の研究者の目的のひとつです。

吸収線形成の逆算

次節以降、例えば組成や磁場など、光が放たれる場所の状態が変わると、スペクトルの形がどう変化するのかについて説明します。そのために、まずは吸収線形成の仕組みを説明します。

吸収線形成の仕組み

吸収線形成の仕組みについては、記事「スペクトル線:なぜ様々な光で観測するのか?」で詳しく説明しています。全く同じ説明になりますが、ここでも簡単に述べておきます。

図 3 に示したように、太陽はある面を境にして、内側 (内部) が不透明、外側 (大気) が透明になっています。そしてその境界が太陽表面と呼ばれます。不透明とは、放たれた光が直ぐに吸収されてしまうということです。内部で生成された光は、表面に達することなく吸収されます。

図 3   地球まで届く光と途中で吸収される光

一方、表面で生成された地球向きの光のほとんどは、吸収されることなく地球まで届きます。大気が発する光の量は表面が発する量に比べて少ないため、地球に届く光のほとんどは表面で発せられたものということになります。故に、図 1 の画像には大雑把に太陽表面が写っています。

表面で発せられた光のほとんどは地球に届くと述べましたが、一部は太陽大気で吸収されます。この吸収される光について、全ての波長の光が満遍なく吸収されるわけではなく、吸収されやすい波長とされにくい波長があります。

太陽大気は、約 98 % が水素とヘリウム、残りの 2 % 程度がその他の (より原子番号の大きい) 元素でできています ( 図 4 )。つまり大気には様々な元素から成る様々な粒子種が (存在比の差はあれど) 混在しています。

図 4   太陽表面の質量存在比:それぞれの元素が質量にして何 % 含まれているかが示されている。Grevesse & Sauval (1998) の値を基に作成。

そして、その粒子種それぞれによって、吸収しやすい波長が異なります。例えば水素原子の吸収しやすい波長は 410 nm, 434 nm, 486 nm, ... という具合です。図 2 に写っている 2 つの吸収線 (630.15 nm と 630.25 nm) は、鉄原子が吸収しやすい波長にあたります。

図 5 を見てください。太陽表面は連続的なスペクトルの光 (連続光) を発しています。どの元素も吸収しない波長の光は、発せられたときの強度を保ったまま地球まで届きますが、例えば水素原子が吸収しやすい波長の光は、大気中の水素原子に吸収されることで、連続光よりも強度が低くなって地球に届きます。これが吸収線の形成の仕組みです。

図 5   吸収線の形成

インバージョン

図 2 に写っている吸収線は、太陽表面の少し上の 光球 脚注 [光球]:フィルターを通さずに可視光で観測したときに明るく映る層のことです。大雑把にはこの層が「太陽表面」と呼ばれます。より細かくは高度 0 から 500 km あたりの層を言います。 と呼ばれる層に存在する鉄原子によって吸収されることで形成されています。つまり、この吸収線の形を調べれば、光球の状態を推定することができます。具体的には次のようにして行われます。

鉄原子が光をどれだけ吸収しやすいかは、理論や実験から調べられています。光球の温度や磁場の様子、気体の動きなどの状態 (入力パラメータ) が与えられれば、 放射輸送方程式 脚注 [放射輸送]:太陽を構成するプラズマは高温なので、通常の熱伝導や熱対流に加えて、光を放出したり、近くで放出された光を吸収したりすることによって運ばれるエネルギーも無視することができません。これを放射輸送と言います。周りの物質分布や温度などの情報から、各場所での光の強度を計算するための方程式を放射輸送方程式と言います。 なるものをコンピュータで解くことで、地球で観測されるはずのストークスパラメータのスペクトルを計算することができます。

初めに、適当な入力パラメータを仮定して計算されたストークスパラメータの値は、実際の観測値とは異なるでしょう。両者の誤差が最小化されるまで、入力パラメータの値を変えては放射輸送方程式を解くことを繰り返します。フローチャートとしては 図 6 の通りです。

図 6   インバージョン時の具体的な計算手順

最終的に誤差の最小化に成功したときの入力パラメータの値が、光球の状態の推定結果です。このような手順はインバージョンと呼ばれることがあります。

彩層の推定は難しい

図 2 に写っている吸収線は 光球 脚注 [光球]:フィルターを通さずに可視光で観測したときに明るく映る層のことです。大雑把にはこの層が「太陽表面」と呼ばれます。より細かくは高度 0 から 500 km あたりの層を言います。 で形成されたものであると述べました。吸収線の中には光球の上の 彩層 脚注 [彩層]:太陽大気のうち、高度 500 km から数千 km の層を指します (太陽半径は約 70 万 km)。太陽表面より少しだけ上の領域と考えてください。例えば波長 656.3 nm (Hα 線) や 396 nm (Ca H 線)、 30.4 nm の光などで観測すると見ることができます。 で形成されるものもあります。

光球は気体の密度が十分に濃いことと関連して、光球で形成される吸収線の形は、比較的簡単に計算できます。対して、彩層は気体が薄いため、彩層で形成される吸収線の形を計算するためには、より複雑な物理を考慮する必要があります。

また、彩層が発する光は弱いため、インバージョンに耐えうる精度の偏光分光観測を行うためには、より高い水準の観測技術が必要になります。

このように、彩層の状態を推定することは、一般的に光球の場合より難易度が上がります。現在盛んに研究が行われていますが、まだ光球の場合のように上手く推定できるわけではないようです。このあたりの話題について興味のある方は、例えば Lagg et al. (2017), de la Cruz Rodríguez & van Noort (2017) を読んでください。

組成が分かる

図 7 に波長 650 nm 付近のスペクトルを示しました。図 2 より広い波長域が写っています。このように、太陽光のスペクトルには吸収線が無数に含まれます。その一つ一つは、それぞれ異なる高度に存在する異なる粒子種によって吸収されることで形成されています。

図 7   地上で観測された太陽光のスペクトル: 連続光 脚注 [連続光]:太陽からの光をスペクトル分解 ( = 各波長ごとの強度を表示) すると、周りと比べて強度の弱い波長帯が所々に現れます。これを吸収線と言います。逆に、どの吸収線にも該当しないような波長の光を連続光と言います。 図:太陽光を各波長 (色) ごとに分解したもの。黒く見える波長が吸収線。提供 N.A.Sharp, NOAO/NSO/Kitt Peak FTS/AURA/NSF に対する相対的な強度が示されている。提供 BASS2000 Solar Survey Archive .

各々の吸収線は、対応する粒子種の存在量が多いほどたくさん吸収され、より深い凹みとなります。よって、吸収線を調べれば、その吸収線を司る粒子種の含有率が推定できます。

例えば炭素に関係する粒子種なら、\(\text{C}\) 原子、\(\text{CH}\)、\(\text{C}_2\)、\(\text{CO}\) など、それぞれの粒子が光球で形成する吸収線を一つ一つ丹念に調べていくことで、光球における各元素の存在比が決定されます。

そのような膨大な数の測定を踏まえてまとめられた結果が 図 8 です。元素の存在数の比が示されています。水素とヘリウムが大部分を占めます。他に比較的多く含まれる元素は酸素、炭素、ネオン、窒素、マグネシウム、ケイ素、鉄、硫黄あたりです。

図 8   光球での存在比:水素の数密度 (単位体積あたりに存在する個数) を 12 としたときの相対値が対数スケールで表されている。例えば水素の 10 分の 1 の数密度なら 11、 100 分の 1 ならば 10 となる。 Asplund et al. (2009) のデータを基に作成。

ヘリウム、ネオンなどの希ガス (貴ガス) は、推定に都合の良い吸収線がないため、上述した手法が使えません。別の方法が用いられます。詳しくは記事「基本構造:何からできているのか?」で説明しています。また、元素存在比の推定の文脈で現在起きている問題についても、同じ記事で説明しています。

温度が分かる

詳しくは記事「黒体放射:なぜ明るいのか?」で説明していますが、太陽表面や光球の温度と 連続光 脚注 [連続光]:太陽からの光をスペクトル分解 ( = 各波長ごとの強度を表示) すると、周りと比べて強度の弱い波長帯が所々に現れます。これを吸収線と言います。逆に、どの吸収線にも該当しないような波長の光を連続光と言います。 図:太陽光を各波長 (色) ごとに分解したもの。黒く見える波長が吸収線。提供 N.A.Sharp, NOAO/NSO/Kitt Peak FTS/AURA/NSF の強度 (明るさ) の間には密接な関係があります。温度が高くなる程、強度も大きくなります。この原理を考慮することで、太陽表面の温度は比較的簡単な計算から推定できます。

図 1 の黒点領域についての偏光分光観測からインバージョンによって推定された太陽表面での温度の様子を 図 9 に示しました。黒点の温度は、周りの温度に比べて低くなっていることが確認できます。

図 9   温度の推定結果:用いられているインバージョンの結果からは相対的な温度しか決定されないため、太陽表面 ( 静穏領域 脚注 [静穏領域]:太陽コロナの画像を見ると、特に明るく光っている領域が存在していることがあります。これを活動領域と言います。活動領域は磁場の強い領域であり、ふもとの太陽表面 (光球) には黒点があります。活動領域以外の領域を静穏領域と言います。コロナの画像で特に暗く見える領域はコロナホールと呼ばれます。 図の提供 NASA/SDO and the AIA, EVE, and HMI science teams. ) の平均温度は \(6420 \ \text{K}\) である ( Vernazza et al., 1981 ) という仮定を課して計算した。HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

気体の動きが分かる

スペクトルを観測することで、視線方向の気体の動きを推定できる場合があります。視線方向の動きとは、観測装置に近づく方向に気体が流れているか、あるいは遠ざかる方向に流れているかということです。

例として、図 10図 1 と同じ黒点を示しました。図の点 A, B を観測したときのスペクトルが下段に示されています。青色は点 A、赤色は点 B のデータです。

図 10   (上段) 図 1 と同じ黒点 (下段) ひので/SP が上段の点 A, B を観測して得られたスペクトル:グラフの色は各点の色に対応する。HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

両者を見比べると、吸収線の中心波長が少しずれていることが分かります。これはドップラー効果と呼ばれる現象に起因します。救急車が通り過ぎたときに、サイレンの音程が変化する現象として耳にしたことのある方も多いと思います。

ドップラー効果

救急車の場合は音波に関する現象ですが、光の場合にも起きます。鉄原子は波長 630.15 nm の光を発する性質を持ちます。例えば波長 630.14 nm の光を発することはまずありません。しかし、観測者が受け取る光の波長は 630.15 nm とは限りません。

図 11   ドップラー効果のイメージ

図 11 の上段を見てください。仮に、光を発する鉄原子と観測者が、互いに近づく向きに相対的な速度を持っていた場合、観測者は 630.15 nm より短い波長の光として観測します。色でいうと、より青色側にずれた波長です。

逆に、下段に描いたように、互いに遠ざかる向きの相対速度を持っていた場合は、630.15 nm より長い波長の光として観測することになります。色でいうとより赤色側にずれた波長です。

重要なのは、光を発する粒子と観測者が近づいているのか、遠ざかっているのかです。これは鉄原子が 630.15 nm の光を吸収する場合も同じです。鉄原子の視点ではぴったり 630.15 nm の波長しか吸収しませんが、観測者の視点だと、両者の相対速度によって、そこからずれた波長の光を吸収しているように見えます。

吸収線の波長と気体の流れ

光球を構成する気体には鉄原子が多数含まれます。仮に、この気体が動いていない場合 ( = 流れが無い場合、風が吹いていない場合) でも、鉄原子一つ一つは勝手な方向に飛び交っています 熱運動 脚注 [熱運動]:気体 (プラズマ) を構成する粒子たちの平均速度をその気体の流速と言います。流速と共に移動する観測者から見ても、各粒子たちはそれぞれ勝手な方向に運動しています。これを熱運動と言います。その速度分布の幅が温度です。具体的には、例えば電子の熱運動の速さの平均を \(\overline{v}_\text{e}\) としたとき、電子 1 個の持つ平均的な運動エネルギー \(m_\text{e}\overline{v}_\text{e}^2/2\) が \(k_BT_\text{e}\) に相当します。\(T_\text{e}\) は電子の温度です。ボルツマン定数 \(k_B = 1.38\times 10^{-23} \ \text{J K}^{-1}\) は温度とエネルギーの単位換算のための物理定数です。 と呼ばれる現象です。詳しくは記事「温度とは何か?:流体力学の前提」で説明しています。

図 12 の左に示したように、気体の流れが無いとは、各鉄原子は勝手な方向に運動すれど、それらの速度の平均値はゼロである状態です。観測者視点では、各々の粒子は近づいているものもあれば、遠ざかっているものもあるので、630.15 nm からずれた波長の光も吸収されているように見えます。つまり、吸収線はある程度の幅を持ちます。ただし、平均速度はゼロであるため、吸収線の中心は 630.15 nm になります。

図 12   鉄原子の運動の様子と形成される吸収線の輪郭

対して、観測者に近づく方向に気体の流れがあった場合を図の右に示しました。この場合、鉄原子達は観測者に近づく向きに平均速度を持つことになります。吸収線の中心波長は短い側に移動します。

インバージョン結果の例

以上に説明した原理を考慮することで、気体の視線方向の速度を知ることができます。図 10 ( 図 1 ) の黒点領域について、偏光分光観測からインバージョンによって推定された視線方向の流速の様子を 図 13 に示しました。黒点の黒い部分 (暗部) の輪郭も示してあります。

図 13   視線速度の推定結果:観測衛星から遠ざかる向きが赤色、近づく向きが青色で示されている。黒点 (暗部) の輪郭が示されている。 HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

記事「黒点:磁場が通り抜ける「穴」」で説明していますが、黒点暗部の周りでは、暗部から遠ざかる向きに強い流れがあることが知られています。図ではその現象を確認できます。

図の黒点領域は、 図 1 に示したように、太陽の左半球に位置していました。よって、図 13 に写っている光球面は、右側がより手前になるように傾いています ( 図 14 )。黒点暗部から離れる向きに流れがあるということは、暗部の右側では手前向き、左側では奥向きの流れがあるということです。確かに、図では暗部の右側に青色で示された領域、左側に濃い赤色の領域が存在しています。

図 14   図 1 の黒点を観測した際の光球面と視線方向の関係

磁場の様子が分かる

偏光分光観測を行うことで、光が放たれた場所の磁場の様子を知ることができます。磁場の強さだけでなく、方向に関する情報まで得られます。磁場とは何かについての基本的な説明は記事「磁場とは?」を読んでください。

図 15   図 1 と同じ黒点: HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

図 15 に示した 2 点を観測した際に得られた強度 \(I\) のスペクトルを 図 16 に示しました。グラフの色は点の色と揃えてあります。点 A は黒点から離れており、磁場が比較的弱い領域にあります。対して、点 B は黒点内の点であり、磁場が強くなっています。

図 16   図 15 の 2 点でのスペクトル: HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

図を見ると、点 B (赤色) での吸収線は、点 A (青色) の場合よりも太くなっていることが分かります。図 17 は他の 3 つのストークスパラメータを示したものです。点 A ではゼロに近い値を取っていますが、点 B では絶対値が大きくなっていることが分かります。つまり、点 A から放たれる光はほぼ無偏光であるのに対し、点 B から放たれる光は強く偏光しています。これはゼーマン効果と呼ばれる現象であり、磁場の存在によって起きています。

図 17   図 15 の 2 点でのストークスパラメータ: HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

ゼーマン効果

ゼーマン効果について具体的に説明するためには、ある程度の順序を踏む必要があるので、別の記事「ゼーマン効果:磁場の存在による偏光」に分けます。原理のことは置いといて、とにかく観測される事実としては、次の通りです。

太陽表面からは、基本的に無偏光の光が発せられています。その光が表面の少し上の光球で吸収されることによって、図 16 の吸収線が形成されていると説明しました。

観測している光球に強い磁場がない場合、図 18 の左のように、波長 630.25 nm には吸収線が存在します。この吸収線は光子の偏光状態に関わらず満遍なく吸収されることによって形成されているため、観測される光は無偏光のままです。つまり、ストークスパラメータはほとんどゼロです。

図 18   磁場の存在による吸収線の分裂と偏光

光球に磁場が存在した場合、630.25 nm の吸収線は 図 18 の右のように、複数の吸収線に分裂します。例えば図のように 2 つの吸収線に分裂した場合、片方は左円偏光の光子、もう一方は右円偏光の光子だけが吸収されることで形成されています。

例えば、無偏光の光から左円偏光の光子だけが吸収されると、残る光は右円偏光に偏ります。このようにして、分裂した各吸収線の波長の観測光は、それぞれ異なる偏光状態になっています。つまり、ストークスパラメータの値は大きくなっています。

光球の磁場が強くなる程、分裂の幅は大きくなります。このことを利用すれば、インバージョンから磁場の強さが推定できます。

また、磁場の向きが異なると、分裂する吸収線の本数やそれぞれの偏光状態が変化します。このことから、インバージョンによって磁場の向きも推定できます。

具体的に磁場の強さや向きが変化すると、観測されるストークスパラメータの値がどのように変化するのか、模式的に示した動画を 図 19 に示しました。ぜひ、法則性を見つけてみてください。

図 19   ゼーマン効果による偏光の様子:磁場の大きさと向きを様々に変化させたときに観測されるストークスパラメータの様子が模式的に示されている。鉄原子の 630.25 nm 線の場合を想定している。

インバージョン結果の例

上述したように、ゼーマン効果を考慮したうえでインバージョンを行うと、光球における磁場の強さだけでなく、その向きに関する情報まで得られます図 20 にお馴染みの黒点領域についての磁場のインバージョン結果を示します。

図では磁場の強さと磁場の向きに関する情報が示されています。ボタンを押すと表示を切り替えられます。傾き角と方位角の意味については、図のキャプションを読むか、図 19 の動画を参考にしてください。注意点としては、傾き角は光球面に対する角度ではなく、観測機の視線方向に対する角度です。

図 20   磁場の様子の推定結果:ボタンを押すと表示を切り替えられる。 (磁場の強さ) 磁場の強さが色で表されている。 (傾き角) 磁場の傾き角 (inclination) が色で表されている。傾き角 \(\gamma\) とは、視線方向に対して磁場がどれくらい傾いているか。磁場が視線方向と平行で観測機を向いていた場合 \(\gamma = 0\) であり、逆に観測機から遠ざかる向きであった場合は \(\gamma = 180^\circ\)。 (方位角) 磁場の方位角 (azimuth) が色で表されている。方位角 \(\varphi\) は磁場が図の上下左右のどちらを向いているか。\(\varphi = 0\) または \(\varphi=180^\circ\) の場合は、磁場は図の左右のどちらかを向いていて、\(\varphi=90^\circ\) の場合は上下のどちらかを向いている。左か右か、上か下かをインバージョン結果のみから区別することはできない。 (全体) 黒点暗部の輪郭も示されている。HAO/CSAC のサイト で公開されているデータを用いた ( キャリブレーションについては Lites & Ichimoto, 2013 )。

図を見ると、黒点には\(0.3 \ \text{T}\) ( テスラ 脚注 [テスラ]:磁場の強さを表す単位です。理想的には磁力線の密集度に相当しますが、実際の図では特徴的な磁力線だけを間引いて描くため、この限りではありません。磁場の強さの単位には \(\text{G}\) (ガウス) が使われることもあり、\(1 \ \text{G}=10^{-4} \ \text{T}\) です。 ) 程度の強い磁場が存在していることが良く分かります。視線方向と光球面の関係 ( 図 14 ) を考慮しつつ傾き角の図を頑張って読み取ると、左側の黒点では太陽内部から大気へ突き出すような 磁力線 脚注 [磁力線]:各場所での磁場の向きを繋げた曲線を磁力線と言います。理想的には磁力線の密集度がその場所での磁場の強さ (単位 T, テスラ) を表しますが、実際の図では特徴的な磁力線だけを間引いて描くため、この限りではありません。磁力線が分裂したり合流したりすることはありません。電気を通すプラズマでは磁力線は物質に凍結している (物質は磁力線に垂直な方向に動くことができない) ので、磁力線の動きはその場所でのプラズマ (物質) の動きを表します。 が存在していること、右側の黒点では逆に大気から内部へ向かって磁力線が貫いていることが想像できるかもしれません。

コロナの温度が分かる

図 21 は NASA が開発した観測衛星 SDO が 6 種類の波長で同じ時刻に撮影したコロナです。ボタンを押すと表示を切り替えられます。どの波長も X 線 脚注 [X 線]:電磁波 (光) のうち、波長が大体 0.01 nm から 10 nm の領域のものを X 線と言います。光子のエネルギーに換算すると、大体 100 eV から 100 keV の領域です。特に、波長 1 nm から 10 nm 程度の光 (軟 X 線) はコロナで発せられ、波長 0.1 nm 以下の光 (硬 X 線) は高エネルギー粒子の加減速によって発せられます。X 線は地球大気に吸収されるので、宇宙からの観測が必要です。 に近い 紫外線 脚注 [紫外線]:電磁波 (光) のうち、波長が大体 10 nm から 380 nm の領域のものを紫外線と言います。波長 10 nm 付近 (極端紫外線) にある輝線はしばしばコロナの観測に用いられます。紫外線は地球大気に吸収されるので、宇宙からの観測が必要です。 に相当します。それぞれの画像では、各装置が観測した光の強度 (明るさ) が色の明暗として図示されています。どの装置の画像かを区別するために、それぞれ違う色で着色されています。

図 21   観測衛星 SDO に搭載された装置 AIA が 2011 年 2 月 15 日に 6 種類の波長で撮影したコロナ:ボタンを押すと表示を切り替えられる。 提供 NASA/SDO and the AIA, EVE, and HMI science teams.

各画像には、少しずつ違う模様が写っています。それぞれ、コロナの中の違う温度の物質が明るく映し出されています。

コロナでは様々な温度の物質が混在しています。 6 種類の波長で同時刻に撮影された画像を解析することで、各部分が主にどれくらいの温度の物質で構成されているのかを推定することができます。

各画像の感度

例えば 図 21 の 19.3 nm の画像は、19.3 nm を中心として 1 nm 程度の幅を持った波長帯に感度がある装置によって撮影されています ( Boerner et al., 2012 )。この波長の近くには、例えば \(\text{Fe}^{11+}\) や \(\text{Fe}^{10+}\) が発する輝線 (鋭く尖ったスペクトル) があるため、この画像ではこれらの鉄イオンが発した光を捉えていることになります ( O'Dwyer et al., 2010 )。輝線について詳しくは スペクトル線の記事 を読んでください。

コロナは高温なので、鉄はイオンの状態で存在しています。例えば \(\text{Fe}^{11+}\) とは、電子が 11 個剥ぎ取られたイオンです。より高温になるほど、よりたくさんの電子が剥ぎ取られ、より高価のイオンが存在しやすくなります。

\(\text{Fe}^{11+}\) と \(\text{Fe}^{10+}\) は、コロナの条件下ではそれぞれ 160 万 K、140 万 K の温度を中心に安定して存在します。つまり、19.3 nm の画像では、大雑把にそれくらいの温度の物質が多く含まれている領域が明るく映し出されていることになります。

このように、図 21 の各画像はそれぞれ違う粒子 (主に違う価数の鉄イオン) によって発せられた光を捉えています。それぞれの鉄イオンが安定して存在できる温度帯は理論から計算できます。よって、各温度の物質が一定量存在した場合に、各画像でどれくらい明るく写るのか、各画像の温度に関する感度を計算することができます。具体的には 図 22 に示したようになります。

図 22   AIA によって撮影された各画像の温度に対する感度:aiapy ( Barnes et al., 2020 ) によって提供されている AIA の波長応答関数と CHIANTI ( Dere et al., 2019 ) を用いて計算した。

温度構造の推定

コロナは基本的に物質が希薄なため、一度発せられた光子は再び吸収されることはなく、地球の観測装置まで届きます。すなわち、図 21 の各画像の明るさは、視線上に存在する物質の総量を反映しています ( 図 23 )。視線上に物質が微量しか存在していない場合は、各画像の輝線を発するイオンの数も少ないため、画像には暗く映ります。逆に、視線上に多くの物質が存在している場合は明るく映ります。

図 23   視線上に存在する物質の総量と観測される明るさの関係

ただし、図 22 に示した感度の低い温度帯の物質が多く存在しても、画像にはそれほど明るく映りません。温度 \(T\) の物質が視線上にどれだけ存在しているかの指標として、微分エミッションメジャー \(\text{DEM}(T)\) という関数を考えます。これに 図 21 の \(i\) 番目 (\(i = 1 \sim 6\)) の画像の感度 \(K_i(T)\) を乗じて、全ての温度に渡って合計 (積分) したものが、その画像で写る明るさ \(p_i\) です。

\[p_i = \int K_i(T)\text{DEM}(T)dT\]

上式にインバージョンを行い、明るさの観測値 \(p_i\) から \(\text{DEM}(T)\) を推定することができます。と言っても、実際に実行しようとすると、なかなかに大変な計算です。具体的には、\(\text{DEM}(T)\) の関数形を様々に変えて上式より仮想的な 6 枚の画像を計算し、実際に観測された 6 枚の画像と比較することで、両者の誤差がいちばん小さくなるような \(\text{DEM}(T)\) を探します。

具体的にどのような \(\text{DEM}(T)\) の関数形を仮定して、どのように探索するのかによって、推定結果の確からしさや計算時間は異なります。

推定結果の例

図 21 の 6 枚の画像から比較的簡単なインバージョンを行い、\(\text{DEM}(T)\) が極大値を取る温度と、そのときの値を大雑把に推定した結果を 図 24 に示しました。

図の上段は光球とコロナの様子です。下段の左側は視線上にどの温度の物質がいちばん多く含まれるかを対数スケールで表しています。右側はその温度の物質がどれくらいの量存在しているかの指標です。

図 24   (上段) SDO が観測した 2011 年 2 月 15 日の光球とコロナ:提供 NASA/SDO and the AIA, EVE, and HMI science teams. (下段) SDO/AIA が観測した 6 枚の画像からインバージョンによって推定されたコロナの主温度と物質の存在量:AIA の観測結果を 1024 × 1024 ピクセルに落として Aschwanden et al. (2013) の方法を用いた。諸パラメータの探索幅は荒くした。観測データのキャリブレーションには SunPy ( The SunPy Community et al., 2020 ) を用いた。

図を見ると、コロナは基本的に 100 万 K ( \(\log_{10}T=6\) ) の桁の温度の物質から構成されていることが分かります。コロナホールのような領域には 100 万 K より低い物質が多い一方で、真ん中付近の活動領域 (黒点の上空) には 1000 万 K に近い高温の物質も含まれることが分かります。

物質は活動領域に多く存在していて、逆にコロナホールの密度は低いことも読み取れます。19.3 nm の画像の明るさは、視線上の物質の存在量を比較的忠実に反映しているようです。

参考文献

記事全体として参考にした書籍

引用した文献

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  • Asplund, M., Grevesse, N., Sauval, A. J. and Scott, P. (2009). The chemical composition of the Sun. Annual Review of Astronomy and Astrophysics, 47, 481-522 .
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