よく見ると色々おかしい?
昼間に明るく輝く太陽。毎日変わることなく、常に地球を照らし続けています。太陽は何からできているのでしょうか?なぜ明るく光っているのでしょうか?そのエネルギー源は何なのでしょうか?
望遠鏡と適切な観測装置を用いて太陽を見ると、いろいろとおかしな点に気付きます。太陽大気は表面よりもずっと温度が高くなっています。太陽は赤道の方が、極より速く自転しています。太陽表面や大気は磁場だらけの世界です。太陽黒点はなぜか 11 年の周期で増えたり減ったりしています。
このカテゴリでは、太陽の構造や組成などの基本的な知識を説明すると共に、太陽物理学が解決すべき、太陽の大きな謎を紹介します。カテゴリ名に「基本」と付いていますが、決して簡単な話ばかりではありません。本サイトの中でも読み応えのある記事揃いになっています。
記事一覧
このカテゴリに含まれる記事のタイトルと要約の一覧です。
太陽七変化:様々な光で見た姿
普段頭上に眩しく輝く太陽ですが、フィルターをかざした望遠鏡で見ると、様々な姿に変化します。そして、その姿を見ることで、我々は太陽が複雑な現象に満ち溢れた世界であることを知ります。地上から、そして宇宙から観測される太陽の姿を紹介します。
基本構造:何からできているのか?
太陽は何からできているのか?太陽の内部はどうなっているのか?太陽の基本的なプロフィールと内部構造は、今や良い精度で分かっています。それらがどのようにして明らかにされたのか、そして最近になって現れた問題を紹介します。
黒体放射:なぜ明るいのか?
太陽は常に明るく輝いています。これは太陽表面が熱いからです。なぜ熱いと光るのか、太陽表面とは何なのか、深く考え始めるとややこしく、面白い話になってきます。この世界には様々な物質が存在しますが、一定の条件を満たすと物質の個性は無くなり、皆同じ挙動を示し始める、という基本的な物理法則を見ることができます。光の放射にまつわる物理を説明します。
ニュートリノ問題:エネルギー源は何?
輝く太陽のエネルギー源は中心部での核融合反応です。1990 から 2000 年代にかけて、日本のカミオカンデを含む各国の検出器が、この核融合に伴って放出されるニュートリノの観測に挑みました。しかし、観測された数は理論の予想を大きく下回るものでした。この問題によってニュートリノ物理学は見直しを迫られました。「太陽ニュートリノ問題」の文脈を紹介します。
コロナ加熱:温度構造がおかしい?
太陽表面の温度は約 6000 K ですが、それより上空の大気 (コロナ) は 100 万 K を超えます。コロナがどうして高温を保っているかという問題は未だに解決に至っていない太陽の謎のひとつです。コロナ加熱問題の内容と現在の研究成果を説明します。
差動回転:回り方がおかしい?
太陽は赤道が極より速く自転しています。この「差動回転」と呼ばれる現象の原因は、太陽内部の熱対流にあると考えられています。熱対流の一見すると無秩序な動きが積もり積もって、太陽全体に秩序だった回転構造を与えるのです。しかし、その物理過程を理解することは非常に難しく、まだ分かっていないことが多いです。太陽内部の流れにまつわる大きな謎を紹介します。
11 年周期:太陽の睡眠サイクル
太陽は磁場に満ち溢れた世界です。更に、その磁場の様子は 11 年の周期で繰り返し変化しています。どうしてそのような規則正しい変化が起きるのか、そもそも太陽はどのようにして強い磁場を維持しているのかは「太陽ダイナモ問題」と言われ、未解決の謎のひとつです。この問題の現状について紹介します。
磁場の構造 1:コロナや惑星間空間の磁場モデル
太陽大気は磁場に満ち溢れた世界です。磁場は太陽で起きる様々な現象を理解するために欠かせない要素です。強い磁場から弱い磁場まで、容易に観測できる磁場から観測の難しい磁場まで、太陽大気に存在する様々な種類の磁場を紹介します。Part 1 の本記事では、気体と磁場の基本物理について説明した後、コロナや惑星間空間の磁場の様子を概観します。
磁場の構造 2:表面付近の微細構造
太陽大気は磁場に満ち溢れた世界です。磁場は太陽で起きる様々な現象を理解するために欠かせない要素です。強い磁場から弱い磁場まで、容易に観測できる磁場から観測の難しい磁場まで、太陽大気に存在する様々な種類の磁場を紹介します。Part 2 の本記事では、表面付近 (光球や彩層) の磁場構造を表す数々の現象を紹介します。